ブラック王子に狙われて②
「この前も話したけどさ。……仕事の処理云々じゃないんだよ」
「……うん」
「正直な話、絢がいれば、他は何も要らないというか。別に留学しないで、ただ単に俺の傍にいてくれればいいというか」
「……え?」
「だから、俺のモチベーションを上げるために、俺を見てて欲しいんだわ、早い話」
「ん?……じゃあ、専業主婦的な位置づけで、何もしなくてもいいってこと?」
「まぁ、早い話、そうとも言える」
「っ……」
「だけどさ、絢の今のスキル考えたら、何もしないのは勿体なさすぎで。だから、足並み揃えて一緒に頑張ろう?って言ってんだけど」
「………」
なるほどね。
そういうことか。
私の実力が伴ってなくても、彼は平気だってことか。
なんかそれもショックというか。
やっぱり必要として貰いたいから、寂しいというか。
「先の先の先まで考えた結果なんだけど、絢には十分酷だと分かってる」
「………」
「だから、一先ず、一つ一つをクリアにして行くのはどうだ?」
「……ん」