ブラック王子に狙われて②
・思いがけない展開
6月中旬。
先月末に行われた中間試験の試験結果も全て配布され、
今、下校途中で絢の結果を尋ねたんだけど……。
「………で?」
「……えっとね、慧くんちに着いたら見せるよ……」
何、その表情。
めっちゃ気になるじゃん。
絢は両目をぎゅっと瞑って、速攻で視線を伏せた。
正直、順位なんてどうでもいい。
内容が重要というか、
必死に頑張った科目の解答用紙がみたいだけ。
点数云々じゃなくて、絢の理解度が知りたい。
現時点での彼女の状況把握というのだろうか。
俺の中での安心材料にする為に。
「ただいま~」
「お邪魔しま~す」
玄関でローファーを脱ぎ、向きを揃えて端に寄せる絢。
何気なくする、この所作が結構好き。
一人娘ということもあるのかもしれない。
絢は日本人としての行儀マナーが結構完璧で。
肘をついて食事したりしないし、畳の縁を踏んだりしない。
そういう行儀作法は幼い時から母親に教わったとかで、
俺の母親もその点に於いて、文句の付け所が無いという。
今時の女子高生なんて、ドタドタと歩く子が多い中、
絢は家の中でも足音を立てて歩いたりしない。
そういう所作一つでも俺の心を鷲掴みにしてる。
今後、海外に連れ歩いても申し分ないと……。