ブラック王子に狙われて②
「おっ?!その表情だと、思い出したみたいだな」
私が驚愕の表情で見つめると、
そんな暢気な答えが返って来た。
「どうしたの?……急に」
目の前の男の正体が明らかになった。
彼の名前は佐伯達則(さえき たつのり)。
やっくんの5歳上のお兄さん。
小さい頃はよく一緒に遊んだ仲だ。
「絢」
「ん?」
「今日から達則君に家庭教師をして貰おうと思うんだけど」
「へ?」
「本来なら大学4年で忙しい時期らしいんだけど、大学院へ進むんですって」
「………それで?」
「だから、勉強がてら教えてくれるって」
「は?………誰も頼んでないよ?」
「あっ、お前、それ酷い言い方だな」
「だって……」
別に家庭教師なんて要らないよ。
私には慧くんがいるし。
私が納得のいかない表情を浮かべると、