ブラック王子に狙われて②


「絢っ?!」

「………終わった?」

「……あ、……ん」


絢が廊下の壁に凭れるようにして立っていた。

俺らの様子を見ていたというか、聞いていたようで。

ヤバい、かなり機嫌が悪い。


絢は怒るタイプでなく、拗ねるタイプ。

自分に自信が無い分、内に籠ってしまうタイプだ。

だから、こういう時は、かなりヤバい。

怒りをぶつけてくれたら、速攻で謝れるんだけど。

今の絢に謝罪を口にしても、ほぼスルーされる。


さて、どうしたものか。


「絢?」

「………」


あ゛ぁ~、相当臍が曲がってるよ。

腕を掴んだら、速攻で振り払われた。

手を差し出しても握ってくれないし。

マジ凹む。


玄関で靴に履き替え、校門へと向かいながら、

隣りを歩く彼女を見つめていると。


「相変わらず、おモテになるようでっ!」

「っ……」


ツンッとした顔ですら、可愛いっっっ。

嫉妬されるのも悪くない。

だって、俺のことを脳内で埋め尽くしてるだろうから。


「んッ?!!ちょっとッ!」


ぷくっと脹れる絢のおでこに、人目も憚らずキスをした。

可愛すぎて、どうにかなりそう。


「俺の彼女200点満点」

「は?何、言ってんの?!」

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