ブラック王子に狙われて②
無理やり手を握って歩き出す。
周りにいる子達が騒ぎ出したから。
「慧くんが迎えに来なかったから……」
「………ん?」
ぷくっと脹れたままの絢は、視線を逸らしたまま口籠った。
そんな彼女の顔を覗き込んだ、次の瞬間。
「……やっくんにまた今日も告られたんだからねっ」
「はぁぁああ?!!」
あんにゃろうっっっ!!!
いい加減諦めたらいいのに。
未だに絢にちょっかい出しやがって!
「何て言われたんだよ」
「……知りたい?」
「焦らすな」
「フフッ、自分だって私を待たせたくせに」
「っ……、あれは仕方ないというか。ちゃんと適当にあしらっただろうが」
「どうだか」
最近、少しずつ対等な関係を築きつつある。
まぁ、当たり前と言えば当たり前で。
同じ歳だし、一応、婚約者?的な位置づけだし。
俺も少しずつ、二人の間にある垣根を剪定して低くしてる。
じゃないと、この先の長い人生で、
絶対彼女が俺に愛想を尽かしてしまうと思うから。
俺との関係性に疲れてしまうんじゃないかと。