ブラック王子に狙われて②
期末試験最終日の放課後。
SHRが早く終わり、
彼が迎えに来る前にトイレに行っておこうと思って。
帰り支度だけ済ませて、トイレに行ったら……。
『卒業まであと数か月だし。夏休みに神宮寺くんに告白しようと思って』と聞こえて来た。
個室から出るに出れなくて、
不可抗力でその会話を耳にしてしまったんだけど。
『彼女いるよ?あ、でも、仕方なく付き合ってるとかいう噂もあるし、もしかしたら乗り換えてくれるかもよ?』
……え。
何、それ……。
噂はあくまでも噂なんだと思うけど。
それでも、一瞬、彼のことを疑ってしまった。
いやいやで付き合っているというよりも、
私に厭きてしまったのではないか?と。
学校では未だに王子様キャラの仮面を被ってる彼は、
誰にでも優しく、優等生であり続けている。
そんな彼とお近づきになりたい人なんて沢山いて。
視界に映る女子生徒が全員、敵に見えてしまうほど
今の私、物凄く病んでると思う。
期末試験の結果が伸びなかったことも要因かもしれないけど。
たぶん、根本的なところはそこじゃない。
私、自分に自信が無いんだと思う。
何でも完璧にこなす彼と不釣り合いだと思ってしまうから。