ブラック王子に狙われて②

「うちの母親から話は聞いてると思いますが、夏休みの間、絢さんをお借りしたくて」

「ウフフッ。それは、正式にってことかしら?」

「あ、……いえ。パパさんがいる時に改めてご挨拶するつもりです」

「そういうことなら」

「えっ、何なに?!……どういうこと??」


全くもって話が見えないんですけど??


「あのな?」

「……ん」

「夏休みを丸々使って、留学先の大学を見に行こうかと思って」

「え゛ッ?!!」

「住むところとか、大学までの通学方法とか、近隣の情報とかも精査しときたくて」

「………」

「あ、言っとくけど、俺ら2人だけじゃないから、安心しろ?うちの母親が一緒に行くことになってるから」

「……ママ、知ってたの?」

「えぇ。美雪ちゃん(慧の母親)から聞いてたわよ」

「………」

「うちは、パパの仕事が不規則だし、ママがいないとパパ一人で生活出来ないでしょ」

「……ん」

「だから、神宮寺家にお任せすることになってるの」

「………」


私の知らない所で、かなりのスピードで話が進んでいる。


「不服そうな顔だな」

「不服というか、……戸惑い?」

「まぁ、勝手に進めてるから分からなくもないけど……」


膝の上に置いている手に、彼がポンと手を乗せた。


「俺らの将来なんだから、ちゃんと考えて」

「うっ……ん」

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