ブラック王子に狙われて②
大学を見学し夕食も済ませ、
コンドミニアムに戻った私達は、
テーブルの上に貰って来た資料を広げた。
「絢ちゃん、先にお風呂入って来ていいわよ?」
「え、いいんですか?」
「えぇ。慧と少し話するから」
「……あ、はい」
慧くんが頷いたのを確認し、着替えを取りに部屋へと。
約三週間、このコンドミニアムで生活しながら、
大学を三校に絞るらしい。
それにプラスして、その大学の近くにある物件も調べるそうで。
方角ですらすぐに分からなくなる私は、
完全に蚊帳の外に置いてけぼり状態。
『住む所は絢に決めさせてやる』とは言われてるけど。
正直、それすらも放棄した方がいいんじゃないかと思えて来る。
歩き疲れて、汗でベタベタ。
汗臭くないかな……?
シャワーを浴びる為に服を脱いで、体臭を確認。
だって、慧くんからずっといい匂いがしてたんだもん。
嫌われないようにしっかり洗い流して綺麗にしないと!
*
「お先にありがとうございましたっ」
「おかえり~」
「じゃあ、俺、入って来る」
すれ違いざまにポンと頭を一撫でされた。
すると、ふわっといい香りが鼻腔を掠めた。