ブラック王子に狙われて②
彼の真横に移動した私の腰を抱き寄せ、
彼は堂々とした口ぶりで『フィアンセ』だと彼女に紹介した。
しかも、ママさんがいるのに熱い視線を向けて来て……。
「I only have eyes for my girlfriend. I am a monogamist.」
(訳:彼女以外に興味が無い、浮気はしない主義なんで)
私の不安な気持ちなんて一瞬で掻き消してくれた。
嬉しくて涙が滲む。
だって、王子様キャラ演じなくてもいいのかな?
この家に住むことになったら、
この目の前のスレンダー美人と会うこともあるだろうに。
「慧くんっ」
「ん?」
「王子様キャラ」
「……」
「脱ぐつもりなの?」
「フッ、……もう必要ないだろ」
「っ……」
ポンと繋がれてない方の手が頭に乗せられた。
**
宿泊しているコンドミニアムに戻った私達。
ママさんはキッチンで夕食を作り始めた。
「俺ら、部屋にいるから」
「ん~、あ、慧っ」
「ん?」
「襲うんじゃないわよっ?」
「絢がいるまで言うな」
「絢ちゃん、野獣に気を付けてね~♪」
「っ//////」