ブラック王子に狙われて②
「絢」
「……ん?」
「俺より、『SëI』が好き?」
「は?……何、急に」
「最近、俺といてもそいつの話題ばっか」
「……っ……、慧くん、やきもち?」
「ん」
「認めるんだっ」
「精神的苦痛で、慰謝料請求するぞ」
「はっ?!」
「冗談抜きで」
「………」
試験勉強や留学のための勉強を頑張ってくれてるけど。
心の中の数%は絶対『SëI』がいる。
100%俺で埋め尽くして欲しいのに。
*
自宅に到着し、キッチンで飲み物とおやつを物色。
「温かいのと冷たいの、どっちがいい?」
「う~ん、温かいの」
「じゃあ、ここから選んで」
紅茶の茶葉や珈琲の豆などが入った引き出しを開けて選ばせる。
絢は珍しくハーブティーを選んだ。
お湯を沸かす間に器を用意していると。
愛らしい顔が目の前に現れた。
「ん?」
「絢のこと、好き?」
「何、いきなり」
「……好き?」
小首を傾げて見つめて来る。
めっちゃ可愛いっっ!
さっき、俺が嫉妬したから
ちょっと気遣ってくれてるのだと思う。
ぷっくりとした小さな唇にキスをしようとした、その時!
「はぁ~いっ、そこまで!」
突然、真横から手が伸びて来て、口元が塞がれた。
ったく、キスくらいいいじゃん。
婚約した仲なのに。