ブラック王子に狙われて②


「絢」

「……ん?」

「俺より、『SëI』が好き?」

「は?……何、急に」

「最近、俺といてもそいつの話題ばっか」

「……っ……、慧くん、やきもち?」

「ん」

「認めるんだっ」

「精神的苦痛で、慰謝料請求するぞ」

「はっ?!」

「冗談抜きで」

「………」


試験勉強や留学のための勉強を頑張ってくれてるけど。

心の中の数%は絶対『SëI』がいる。

100%俺で埋め尽くして欲しいのに。



自宅に到着し、キッチンで飲み物とおやつを物色。


「温かいのと冷たいの、どっちがいい?」

「う~ん、温かいの」

「じゃあ、ここから選んで」


紅茶の茶葉や珈琲の豆などが入った引き出しを開けて選ばせる。

絢は珍しくハーブティーを選んだ。

お湯を沸かす間に器を用意していると。

愛らしい顔が目の前に現れた。


「ん?」

「絢のこと、好き?」

「何、いきなり」

「……好き?」


小首を傾げて見つめて来る。

めっちゃ可愛いっっ!

さっき、俺が嫉妬したから

ちょっと気遣ってくれてるのだと思う。

ぷっくりとした小さな唇にキスをしようとした、その時!


「はぁ~いっ、そこまで!」


突然、真横から手が伸びて来て、口元が塞がれた。

ったく、キスくらいいいじゃん。

婚約した仲なのに。

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