ブラック王子に狙われて②


トレイにハーブティーの入ったカップが乗せられ、

別の容器にクッキーと一口タルトが乗せられた。


「絢ちゃん、おばさん、買い物に行って来るわね?」

「あ、はいっ、お気をつけていってらっしゃいっ」

「い~い?野獣には、十~分気を付けるのよ?」

「っ//////はいっ//////」


すれ違いざまにギロッと睨まれ、母親はキッチンを後にした。


「絢、俺の鞄持てるか?」

「あっ、うん」


絢に鞄を手渡し、トレイを手にして2階へと上がる。

自室に入ると、ベッドカバーが交換されたようで

今朝見た柄とは違う柄のカバーが掛けられていた。


絢は鞄を下ろし、相変わらずラグの上にちょこんと座る。

そろそろ床も冷えて来る季節だから、

ホットカーペットを出して貰わないと、かな。


「そうだっ!慧くんっ、結納のお返し、何がいい?」

「は?」

「ママがね?時計とかお財布とか、ネクタイピンとカフスボタンのセットはどう?って」

「……う~ん、絢に任せる」

「え?」

「というか、別にお返しは要らないけど」

「それはダメだよっ!ちゃんと受け取ったっていう意味のお返しだもんっ/////」

「あ、……ん」

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