ブラック王子に狙われて②


そんな風に言われたら、マジ嬉しいじゃん。

俺が押し付けたはずの結納なのに。

絢の両親はたぶん、一人娘の~という事を重視して

神宮寺家に対して手抜かりなく……としてるんだろうけど。


絢の父親は証券会社の重役らしく、

しょっちゅう会議や出張で不在がち。

土日は基本休みらしいんだけど、

付き合いのゴルフ接待とか、忙しいと聞いている。

そんな父親を支えている母親は、

旅行代理店に勤務していたらしく、

父親の出張の際の手配を担当していたそうだ。

仕事一筋の父親、明るくて大らかな母親。

目に入れても痛くない愛娘に

育てて来た17年の想いが詰まってるであろうから。


「じゃあ、時計で」

「時計ね?!うん、分かった♪」


人生の節目だと思えるこの瞬間を

彼女と彼女の両親から頂く時計で

これからの人生を1秒たりとも無駄にしないように。


「勉強、始めるぞ」

「はぁ~い」


早速母親に連絡を入れてる彼女の頭を一撫で。

よそ見は出来ない。

俺らは前進あるのみだから。

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