ブラック王子に狙われて②
「いいよ」
「ホントッ?!」
全然よかねぇよッ!!
つーか、今の俺、腸煮えくり返ってるから!
100万歩譲って、許可してやってんだからな!
惚れた弱みにつけ込みやがって。
にこにこと愛らしい顔で俺の腕に抱きつく絢。
そんな風に甘えられたら、
俺の感情なんてどーでもよくなるだろっ。
ホント、ますます翻弄されっぱなしだっての。
「大学の選考試験をさ」
「ん?」
「2人で無事に合格出来たら」
「……出来たら?」
「俺に、ご褒美券ちょーだい」
「……うんっ、いいよ!」
「え、いいの?」
「だって、これまでずっと頑張ってくれたんだから、1つと言わず、3つくらいあげるよ!!」
「マジで?!」
「あ、でも」
「ん?」
「一度に3個消費とはやめてね?1つでも強力そうだからっ//////」
「フフッ、……了解♪」
得体のしれない男との勝負?みたいなものなのかもしれない。
絢の心を射止めて、その心の部屋を独占する権利。
1歩も引く気ねぇし、1%も譲る気はさらさら無い。
相手が俺の存在すら知らねぇとか、そんなことはどーでもいい。
この目の前の女の心を、常に俺で埋め尽くしたいだけ。