ブラック王子に狙われて②
Ⅻ 拒否権なし
・新しい関係性
11月の第一日曜日。
俺らが第一志望している大学から指定された
都内の某大学で選考試験を受験した。
英語、数学、サイエンスは必修科目で、必ず受験しなければならない。
選択科目は志望の大学によっても専攻科目が分かれていて、
絢が選択した科目は、人文科学や現代外国語など
比較的文系のものを多くしておいた。
多少の凸凹はあるにせよ、
Aレベルの大学に進むには、
9~11科目を選択し(通常はこの選択科目を履修して受験する)、
A*,A,B,C,D,E,F,Gのランクのうち、
Cランク以上が5科目以上必要になる。
A*が取れなくても、AとBで埋められれば
必然的にAレベルの大学に進学出来る資格が得られるのだ。
「慧くんっ、大丈夫かなぁ……」
「大丈夫だって。全国模試でも結構高得点取れてるじゃん」
「……」
不安で押し潰されそうなのだろう。
今にも泣きそうな顔をしてる。
迎えに来た俺の母親の車に乗り込み、
絢の手をぎゅっと握りしめた。