ブラック王子に狙われて②
絢の部屋は、一人っ娘というのもあるだろうが、
結構、いやかなり広い。
14.5畳あるらしく、南側に面したお洒落な窓には
女の子らしい綺麗なレースカーテンが施されている。
白と薄いピンクと淡い水色を基調とした部屋。
入った途端に少し甘いような花の香りに包まれる。
この匂い、めっちゃ好き。
『絢』を抱き締めてるみたいな香りだから。
鞄を置いて、室内を見回す。
奴はどこにいるんだ……?
本棚にも机の上にもいない。
ドレッサーの上にもないし、
壁に施された棚部分にもいない。
勝手に机やドレッサーの引き出しを開けるにもいかず。
キョロキョロ……いや、ギロギロ……か?
鋭い視線を隈なく張り巡らせたが、
奴の姿を捕らえることが出来なかった。
「座っててよかったのに」
絢が飲み物とおやつを手にして現れた。
結局、ババロアと団子の両方を持って来たようだ。
フッ、絢らしい。
絢に促され、ソファーに腰を下ろす。
白い湯気を纏ったティーカップが目の前に置かれた。
「俺が買ってやったCDって、どこにあんの?」