ブラック王子に狙われて②

至極冷静に尋ねてみた。

別に苛ついてCDを割るつもりじゃない。

どんな風に保管されてるのか、知りたいだけ。

大事にされればされるほど、

俺の感情が穏やかでなくなるのは言うまでもない。


「CD?……『SëI』の?」

「ん。先週買ったやつ」

「それなら、リビングだけど」

「は?」

「ママもね、『SëI』のファンなの。だから、リビングで聴けるようにテレビボードのところにあるけど?」

「……へぇ」


そういうことか。

なんか、ちょっと安心した。

絢のことだから、どこかの引き出しに大事にしまって

鍵までかけて、毎日眺めてそうな気がしたから。


「慧くん、聴きたいの?」

「いや」

「ん?」

「気にしなくていい。それより、試験結果は?」

「あっ、そうだった!」


レモンティーを口にして、彼女に手を差し出す。


「おぉぉっ、めっちゃ頑張ったじゃん!」

「でしょ?」


えへへっと可愛らしい笑みを溢す絢。

結果は今までで一番の出来だ。

8教科も最高得点を叩き出し、

勿論、クラス順位も普通科の順位も1位をキープ。

更に、学年順位(特進科含む)が、

中間試験の32位から、17位に爆上がりした。

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