ブラック王子に狙われて②
彼女の指先に視線を向けた俺。
有無を言わさず、お返しを強請る。
「俺の団子、1つ食べたじゃん」
「っ……」
いや、もとはと言えば、絢の家の団子だけど。
絢は俺の言葉をそのまま捉えたようで、
手にした串を、俺の口へと運んで来た。
「どうぞっ」
何、それ。
俺は口移しで食べさせてやったのに。
「要らね」
「えぇ~~っ」
そういう困った顔も可愛いっ。
つーか、何でも可愛んだけど。
俺は自分が手にしている残りの団子を口に運ぶ。
甘っ……。
ノンシュガーのレモンティーがちょうどいい。
いや、渋めのお茶でもいいくらい団子が甘すぎる。
レモンティーを飲み干すと、
隣りに座る絢が、珍しく間を詰めて来た。
「嫌いにならないでね……?」
なるかよ。
日増しに好きになってるのに。
結納を済ませたからなのか、
最近、絢は恋愛に対して積極的になって来た。
とはいえ、肉食女子というほどでもないが。
「聞いてる?」
「聞こえてる」
俺の顔色を窺うように覗き込んで来た。
そんな彼女の頭にチュッとキスを。