ブラック王子に狙われて②


クリスマスを4日後に控えた、12月21日。

昼休みに母親から『試験結果が届いた』と連絡が来た。

すぐさま絢にも連絡を入れると、

絢の母親も連絡をして来たようで、

『放課後に』という返信が来た。

……どうか、2人とも受かってますように。

**

放課後。

絢のクラスに迎えに行くと、

そわそわした絢が教室から飛び出して来た。


「慧くんっ、急ごっ!」


珍しく俺の手を先に掴み、玄関へと早足の彼女。

よほど結果が気になるようだ。


俺の結果は既に母親が開封済みで、

無事合格していると連絡が来た。


絢は自分が一番最初に見たいと言ったようで

帰宅するまで開封せずに待って貰っているらしい。


「絢、転ぶぞ」

「転んでもいいから、早く帰ろっ」


俺の手を引くように前を歩く彼女。

なんか、無理やり連れられてるみたいで変な気分。



「ただいま~っ!」

「おかえり~~っ!」

「お邪魔します」

「慧くん、いらっしゃい」


今か今かと待ち侘びていたのか、

絢の母親はリビングから飛び出して来た。


やっぱり似てる。

この母親にこの娘あり、だ。

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