ブラック王子に狙われて②
来年に向けて貯金すると言っていた彼女が、
選考試験の結果に余程嬉しかったようで
ご褒美券を一度に3つ消費するらしい。
とはいえ、まだ残り20個くらい残ってるんだけど。
絢は律儀にご褒美券を手帳に付けてカウントしてるけど、
俺はもう気にしないようにしてる。
脳内で個数を弾き出せるけど、
根本的に、絢からのお願いごとなら
いつだってなんだって叶えてあげたいから。
まっ、そんなこと彼女には言えないけど。
「あのね?」
「……ん、言ってみ」
「お揃いのスマホにしたいっ!」
「スマホ?」
「うんっ!……ダメ?」
好きな女からの『ダメ?』トラップ。
仕掛けられても逃れる術はない。
「いいよ」
「ホントっ?!」
「ん。……残り2つは?」
「あっ、……えっとね?」
スマホを同じにしたいとか……。
そんなことに必死に頑張ったご褒美券使うとか……。
絢らしいといえばそうなんだけど。
サラッと、『同じのにしようよ~』とか言われたら
別にご褒美券使わなくたって『ん、いいよ』と言ってあげるのに。
彼女なんだし、一応、婚約者?的立場なんだから
恋人としてもっと堂々としててもいいのに。