ブラック王子に狙われて②
プロポーズはまだだけど、一応、婚約したわけだし。
将来を見据えて、大学先も拘って決めたわけだし。
大学の寮に入ったり、別々の生活拠点を設定することだって出来るけど。
俺の中では、既に絢は必要不可欠な存在だし。
ずっと一緒にいたくて、毎日勉強仕込んでんだから
簡単に手のひら返すみたいなことはできねぇし、
例え、絢が俺に愛想尽かしても、
簡単には手放したりしない。
「もう1つは?」
カフェオレを口にして、カップ越しに彼女を捉える。
「慧くんのお願いごとは?」
「は?……あぁ、……ん」
合格したら……ということになってるやつな。
3つ貰ったうちの1つは決定済みだけど。
「慧くんのお願いごと聞いたら、3つめを話すよ」
へぇ~。
なんか、頭使うようになったな。
俺の出方を見極めるとか……。
そういう駆け引きできるようになったんだ。
面白れぇ。
「3つ、……貰っていいんだよな?」
「うん」
「じゃあ、とりあえず、1つしか決まってない」
「……何?」
絢は、胡坐を掻く俺に体ごと向きを変えた。