ブラック王子に狙われて②
Xiii 油断すると痛い目をみる
・マイナスな塵を貯めるのは危険
12月24日、絢と迎える3度目のクリスマス・イヴ。
修了式ということもあって、
誰しもちょっと気持ち的にハイになり易いんだけど。
俺の隣りを歩く、コイツはそれとは違い、
何だかさっきから眉間にしわを寄せてる。
というのも、選考試験に合格した絢と俺を両家の両親が気遣い、
冬休み中に両家で旅行に行こうという話になったんだけど。
結納も済ませてるし、卒業後の進路も決まってるから
当然、ハッピーな感じでルンルンするかと思っていたら。
「けっ……ぃ(くん)、お口チャックしててっ!!」
俺の家で、スマホを立ち上げ
ニ十分前からずっとこの調子。
ユウにメール入れたら、
13時半から、芸能事務所の『Rainbow Bridge』から
クリスマスプレゼントで生歌配信があるらしくて。
その事務所の今一番の売りである『SëI』が歌うだろうと、スタンバイ中。
何でも、歌うアーティストはシークレットになっていて。
ワクワクするけど、『SëI』でありますように……的にずっと拝んでる。
俺の目の前で。
まぁ、俺を呼び捨てにするのを頑張ってくれてるから、100万歩譲ってやるけど。