ブラック王子に狙われて②
絢とちゃんと付き合うようになった時に、
『もう少し優しくしてくれたら』と言われた。
もう2年以上も前のことだけど。
天邪鬼な性格の俺は、それを直ぐに実行に移せなくて。
色んな女の子から告白されるのは
外見とか、優等生としての俺で判断してるのが明らかで。
だから、心が揺れることは一度もなかったのに。
絢と知り合って、もちろん見た目は可愛いから文句なしなんだけど。
腹黒で俺様で短気で嫉妬深くても受け入れてくれる彼女が、
見た目を差し引いてもお釣りが出るくらい出来過ぎてて。
俺のために神様が用意してくれたのかと思うほど。
だから、彼女のためなら
例え、苦痛を味わうようなことでも受け入れるつもり。
『別れる』以外であれば。
「俺の残り2つあるご褒美の1つを消費する」
「え?」
「絢のちゃんとした、本気の気持ち聞かせて?」
「………」
「直して欲しいとこ、あったら言って」
この先の人生をずっと一緒にいるなら、
小さな歪みも訂正しておかないと、
いつかは必ずそこから大きな亀裂が生じてしまいそうで。
「じゃあ……」
「ん?」
足を止めて、彼女の方に体をしっかりと向けた、次の瞬間。