ブラック王子に狙われて②
自宅に絢を連れ込んで
飲み物を手にして2階の自室へと。
絢はいつものようにラグの上にちょこんと腰を下ろした。
「何か今日は暑いねぇ~」
「エアコン付けるか?」
「あっ、いいよ、別に。……窓開ければ」
絢は窓を少し開けて、再びラグの上に座った。
ブラウスの襟を少しパタパタと煽いだ、その時。
背中に近い、後ろ首の下辺りに傷のようなものを見つけた。
ソファーの上に座っている俺からは見下ろす形で
目の前にいる彼女の後ろ姿がよく見えていて。
……どこかにぶつけたんだろうか?
白い肌だからそれが異様に目立って目についた。
1.5リットルのペットボトルから烏龍茶をコップに注いだ絢。
「慧くん、はい、どうぞ」
「あ、サンキュ」
いつもと変わらない。
痛みは無さそうだけど。
GW頃から急に気温が上がって来たから
虫にでも刺されたんだろうか?
「絢、背中、虫に刺されたのか?」
「え?……背中?」
「ん、赤くなってる」
「ん~……特に刺されてないと思うけど」
絢は首を傾げた。