ブラック王子に狙われて②


2月上旬のとある日。

先月末に行われた、年度末試験の結果が返却されたんだけど。

俺の隣りで、今絶賛ブラックホールに堕ちてる子がいる。


「絢、……いい加減、泣き止め」

「う゛ぅぅぅ~~う゛っ……んっ……んぐっ」


まぁ、何となく予想はしてたけど。

あれだけ毎日のように浮ついてて、

成績が維持できる方がおかしい。


絢の試験結果はクラス順位は1位をキープ出来たものの、

普通科の順位を3位に落とし、

学年順位を35位にまで降下させた。


勉強してなかったわけじゃないけど、

他の子達はセンター試験を受けたばかりで

私立大学へと進む生徒もいる中、

皆猛勉強真っ只中だったわけだし。


油断というより、モチベーションが元々違ったというか。

だから、成績が急降下しても想定内というか。


だけどそんなこと、今の絢には通じない。


一度頂点を極めてしまうと、隙が出来るのも確かで。

トップを維持し続ける方が、トップを取るより難しい。

この俺だって、全国模試で1位になったこともあるけど

毎回それを維持出来るわけじゃない。

俺が努力するように、他の奴らも同じように努力してるのだから。

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