ブラック王子に狙われて②
校門を出て、絢の自宅へと向かっているんだけど。
すれ違う人の視線が突き刺さる。
まるで俺が絢を泣かせた張本人みたいな顔されて。
いや、逆だから、
俺、今、めっちゃ慰めながら歩いてんだけど。
成績が急降下しても留学には差し支えない。
既に内申書は提出済みで、
成績が落ちたからといって、合格が取り消しになるわけじゃない。
だけど、この緩んだ状態が継続したら
きっと大学の授業についていけなくなる。
「泣き止まないと、ママさんいる前でもキスするぞ」
「ッ?!!」
物凄い勢いで仰ぎ見てる。
泣き止んだか?
「これで分かっただろ。常に努力し続けないと痛い目みるって」
「う゛っ……ぅんっ」
「分かれば、よろしい」
真っ赤に腫れ上がった瞼が痛々しくて。
涙で濡れてる頬を指先で拭ってやる。
「……け、ぃっ…」
「ん?」
「嫌ぃ…に……ならない…でねっ?」
「なるかよ」
「落こぼっ……れてもっ「そんなことで嫌いになったりしないからっ」
「うぅぅっ……」
「頼むから、いい加減泣き止めって」