ブラック王子に狙われて②
バレンタイン当日。
土曜日ということもあり、
ドキドキ感が割り増しされている感覚に陥る。
前日に準備した抹茶ババロアをラッピングして、
出掛ける準備を始める。
甘いものが苦手な彼のために、
抹茶ババロアをプレゼントすることにしたのだ。
それと、先週にゆずとプレゼントを買いに行った。
ババロアだけでは物足りないと思って
ユウくんの就職祝いも兼ねて、モールを散策した。
そして、ゆずの強引な提案もあって、
とあるモノをプレゼントすることになったのだが。
「大丈夫かなぁ……。なんか不安になって来た」
手のひらサイズの小さな箱。
特別高価なものというわけではないが、
高校生の彼女がプレゼントするのは
ちょっと早い気がするんだけど……。
「絢~~9時過ぎたわよ~~っ」
「はぁ~いっ」
カールアイロンで緩く巻いた髪を鏡でチェックする。
そして、緩めにハーフアップして、
そこに彼から貰ったヘアピンを留めた。
「よし、完璧」
薄づきメイクを施し、残るは着替えだ。