ブラック王子に狙われて②


春めいて来たとはいえ、まだまだ寒さが残る2月。

白いニットにタータンチェックのミニスカートを合わせ

その上にグレーのコートを羽織る。


プレゼントをバッグにしまって、

冷蔵庫からプレゼント用のババロアもピックアップ。


「ママ、行って来まぁ~す」

「気をつけてね」

「はぁ~い」


お気に入りのロングブーツを履いて自宅を出た。

**

10時半にお邪魔する予定なんだけど、

10時前に慧くんのお宅に到着。


先日、ご褒美券を1つ消費して

『バレンタインデートがしたい』とおねだりしておいた。


「絢ちゃん、いらっしゃい」

「お邪魔します」

「慧、今シャワーから出たところだから、リビングで待ってて貰える?」

「はぁ~い。これ、冷蔵庫に入れておいて貰えますか?」

「えぇ、いいわよ」


抹茶ババロアをママさんに手渡し、リビングへと。

浴室の方からドライヤーの音が微かに聞こえて来る。

数分すると、慌てた様子の慧くん登場。


「絢、早すぎっ」

「えへへっ」


ワックスでアレンジしたようで、指先で少し触る彼。


「ちょっと待ってて」

「ゆっくりでいいよ~」


普段見られない慌てた様子の彼に笑みが零れた。

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