ブラック王子に狙われて②
「お邪魔しまぁ~す」
「ただいま」
「お帰りなさい」
デートの締めくくりは神宮寺家へ。
ママさんがお夕食を作って待っていてくれた。
パパさんは仕事で遅くなるみたいで、
3人で夕食を済ませることにした。
ママさんが作ってくれたクラムチャウダーは絶品で
もう何回リクエストしたのか覚えてないほど。
「ん~っ、美味しすぎる~~っ!」
「イギリス行くまでの間に作り方覚えないとね?」
「はいっ!!」
デザートはもちろん、抹茶ババロア。
甘いのが苦手な慧くんと
抹茶が大好きなママさんだから、
予想通り、ウケがよかったようで。
ママさん、パパさんの分まで食べてしまう珍事件勃発。
『パパには内緒ね?』だなんて、可愛らしいことを言う。
*
ママさん、食後は台湾ドラマを観ると言い、
私と慧くんは2階へと。
ソファーに腰を下ろした彼の隣りに座って。
「はい」
「ん?」
「ババロアだけじゃ、物足りないかと思って」
「別にいいのに」
「絢の気持ちが、い~~っっっぱい詰まってるから」
「フフッ、そんなに詰め込んだのかよ」
「あっ、今開けないでっ!」
「何で」
「絢が帰ったら開けて」
「………」