ブラック王子に狙われて②
「絢」
「ん?」
「ぎゅーしていい?」
「え?……うん//////」
卒業式の最終リハーサルがあるらしく、
いつもより早めに登校するように言われた彼。
そんな彼に合わせるために、一緒に早めに登校している。
サラリーマンの姿はあるにせよ、
中高生の姿はほとんど見られず。
そんな中、彼が優しく抱き締めて来た。
「絢の制服姿、今日が最後だから」
「慧だって……最後だよっ」
少し前から呼び捨てにするのも
少しずつ慣れて来たのもあって、
たまに『慧くん』って口走る時もあるけれど
『慧』と言えるようになって来た。
「花束は、食事する店に届けて貰うことになってるから」
「さすがっ」
卒業式後に一旦帰宅し、
夕方に合流して『卒業』を祝う食事会が開かれる。
PTA会長をしているユウくんのパパが、
率先して手配してくれたらしい。
この見慣れた景色も
彼と手を繋いで登校するのは見納めだ。
本当に感慨深い。
「何、涙ぐんでんの」
「だって、一緒に登校するの、これが最後だよ」