ブラック王子に狙われて②
「慧くん、ボタンどうしたの?……まさかっ!」
「フフッ」
「何で笑ってんの?誰にあげたの?!」
ブレザーのボタンが一つも付いてない。
よく見ると、ユウくんのブレザーのボタンもない!
卒業式=第二ボタン
完全なる方程式なのは分かってたけど、
『彼女』という地位に胡坐を掻いていた。
まさか、誰かに奪われるだなんて思ってもみなかった。
ゆずも気付いたらしい。
めっちゃユウくんを問い詰めてる。
「どういう神経してんの?」
「まぁ、そう怒るなって」
「これ、怒るのレベルじゃないでしょ!」
普段はクールなゆずが、
ちょっと、いやかなりご立腹のようだ。
「絢~~っ!」
ゆずが半泣きで抱きついて来た。
「慧のも、無いよ」
「え?……ホントだ!」
ゆずは慧くんのブレザーに視線を向けて、
キッと鋭い視線を2人に向けた、次の瞬間。
「慧」
「ん」
「ゆず」
「フンッ」
「ほら、これ見ろ」
プイっと顔を背けたゆずにユウくんは
ポケットから取り出したものを手のひらに乗せて見せた。
「ゆず、ボタン!!」
「……え?」