ブラック王子に狙われて②


「ぅっ……う゛っ……」


自分の目で見て、漸く理解したらしい。

衝撃的な事実を知った絢は

大きな瞳から大粒の涙を溢す。


「ごっ……めん、な……さいっ」

「俺に謝るようなこと、したのかよ」


動揺しまくる彼女は、

俺の問いにブンブンと顔を横に振った。


「じゃあ、なんでそんなとこに付いてんの」


沸点越えて完全に蒸発してる俺の理性。

優しい声音で聞くのは、もはや無理。


今すぐ勝手に付けられた『らく印』を消したいのに。

泣き崩れる絢を視界に捉え

紙一枚の所で体を制御して。


じゃなきゃ、今すぐめちゃくちゃにしちゃいそうで。

泣こうが喚こうが、

そんなこと気にしてられるほど、大人じゃない。


目に入れても痛くないほど

大事な彼女が、誰かに汚されたってことを

受け止める余裕が今の俺には無い。


絢が浮気するとは思ってねぇけど

俺と絢との関係を知ってても

絢に近づこうとする男がいることは知ってる。

科も違うし、帰りが違う日もあるから

『別れるかもよ?』という噂が耳に入って来る。


別れるわけねぇだろっ!!

だけど……。

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