ブラック王子に狙われて②
数分泣き崩れた絢。
漸く少し落ち着きを取り戻し、
細く華奢な手がふるふると震え出した。
「あ、……あのねっ」
「……ん」
赤く腫れた目で訴える彼女。
鼻声で必死に俺に説明し出した。
「はぁぁぁあああッ!?」
「ご、……ごめんなさいっ」
「じゃあ、何か?俺が授業受けてる日に、その『たっちゃん』という幼馴染の兄に勉強教わってるってこと?」
「たっちゃんも幼馴染だよ」
「んなことはどうでもいいんだって」
「え?」
頭痛ぇ。
ってか、脳の血管が何本か切れた気がする。
ブチブチッと。
『やっくん』でも怒りが収まらねぇってのに。
『たっちゃん』とやらまで出て来やがった。
しかも、5歳年上って……。
何、家庭教師って。
大学生の男と部屋で2人きり……ありえねぇ。
数秒あればキスだって出来るし
数分あれば……それ以上だって可能だろ。
それを週3回、3時間って……。
聞いてねぇぞ。
起きてたって隙だらけなのに
寝てるところを見せたらアウトじゃん。
完全に。