ブラック王子に狙われて②


「今から、絢んち行くぞ」

「えっ?」

「いいから、急いで用意しろ」


黙ってられるかっての!

だって、これ。

宣戦布告じゃん。

ペアリング付けてて

『彼氏』いるって知ってて、付けてるってことは。

俺に対しての『果たし状』じゃん。


たっちゃんだかやっくんだか知らねぇが、

誰にも絢を渡すつもりねぇ。

サラサラ、微塵もねぇっての。


つーか、この俺に挑んで来るとは、いい度胸。

俺様の絢に対する愛情は、

誰にも負ける気がしねぇ。


ふざけんな!

(ひと)の女に手を出すとか、

マジムカつく。


去年の夏に、兄貴にも同じことされた。

あの時、兄貴が無理やり付けたってのを分かってて

絢とちゃんと話すことから逃げた。


それから1か月以上。

絢と別れた俺は、心にぽっかり穴が開いて。


初めて好きになった女を

そう簡単に忘れることなんて出来やしねぇ。


何度も何度も自分自身にクレームつけるほど

自分の行動に後悔した。


だから……。

同じ轍は踏みたくない。


例え、絢が本気で別の男を好きになったとしても

一つ返事で了承なんて出来ねぇんだから。


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