ブラック王子に狙われて②
「ただいま~」
「お邪魔しまーす」
「あら、今日は慧くんちじゃなかったの?」
いつもより1時間くらい帰りが遅くて
俺の家で夕飯を食べて来ると思ってたのか。
絢の母親は、『夕食のメニューを考えなくちゃ』と慌て始めた。
「あの……」
「ん?……何、慧くん」
「ちょっと話があるんですけど」
「ん?……うん」
リビングから玄関に顔を出した絢の母親に
俺は真っ向勝負を挑むことに。
腹は据わってる。
言いたい事は、ここへ来る道中にシュミレーションした。
リビングに絢と一緒に入ると
絢の母親がジュースの入ったグラスをテーブルに置いた。
「話って、なぁ~に?」
改まって2人でソファーに並んで座るものだから、
絢の母親も違和感を覚えたみたいで。
俺に視線を向けて来る。
別に妊娠させたとか
娘さんを下さい的な事じゃない。
だけど、俺にとっては同じくらい重要で。
俺だけの絢であって欲しいから。
「これ、見て貰えますか?」
「ん?………何?」