ブラック王子に狙われて②
絢の母親は大きな溜息を溢した。
絢の腫れた目を見て、申し訳なさそうな表情を浮かべ
娘の手をぎゅっと握りしめた。
「絢に教えることで、俺の勉強にもなりますし。そもそも、絢は勉強結構出来るんです。やる気が無いだけで」
「「えっ?!」」
母娘揃って同じリアクション。
いや、そんなとこ、似なくていいんだけど。
「中間テストで絢をクラスで10位以内にしますから」
「「ええぇぇえっ?!」」
いや、そこ、揃うとか、おかしくね?
「彼氏の俺がいるのに、他の男をあてがうの、止めて貰えませんか?マジで腹立つんで」
「っ……ごめんなさいね。そんなつもりじゃ……」
「とりあえず、今回だけは見なかったことにします。けど……」
俺の威圧感がハンパないからなのか。
絢の母親がごくりと生唾を飲み込んだ。
「次、同じこと起きたら、うちに引き取りますんで」
「「えっ、えぇぇええっ?!」」
いや、そこ、ハモるとこじゃねぇから。
「ひ、ひっ、引き、……取るって?」
「連れて帰るって意味だけど」
「そそそそそ、そっ、それって……」
「危なっかしくて、放っておけねぇだろ」
「あ、いや、そうじゃなくて……」
「慧くん、本気なの?本気の本気で絢のことを……?」