ブラック王子に狙われて②
「ってかさぁ、慧くん、有言実行とか……さすがだよね」
「うんうん、ホント、出来ないことないんじゃないかと思うよ」
ゆずには『キスマーク』の一件も含めて全部話した。
というより、やっくん兄弟はゆずのいとこだから。
必然的に何でも筒抜けなんだけど。
「絢、おはよ~」
「……はよ」
「やす、アンタの教室隣だから」
「知ってるよ。絢にラブコールしに来たんだって」
「いい加減、諦めな。絢にはラブラブなダーリンがいるんだから」
「チッ、またその話かよっ」
たっちゃんの一件以来、
やっくんからの攻撃をゆずがガードしてくれるようになった。
いとこだから、責任を感じたみたいで。
ゆずは、いとこより私の方が大事だと言ってくれている。
本当に出来た親友だよ。
やっくんは小学校卒業と同時に
父親の転勤で福岡に引っ越した。
そして、この春、本社勤務になった父親の関係で
元々の家に戻って来たらしいんだけど。
『俺のいない間に浮気するとか、信じらんねぇ』って、
新学期早々、毎日のように猛アタックを受けている。