ブラック王子に狙われて②
確かに、やっくんは優しい。
気が利くというか、過保護な感じで
小さい頃から何でも手伝ってくれた。
だけど、私は特別な感情を抱いたことが無い。
一般的に考えたら、初恋に発展する関係性なのかもしれないけど。
私的には、彼氏に優しさを求めてるわけじゃない。
何ていうか……。
ドキドキ胸が高鳴ったり、きゅんと見悶えしたり。
時には胸がキュッと切なくなったりして
大人になるまでの短い時間を同じ速度で歩んでくれる人がいい。
だから、やっくんじゃダメなんだよね。
だって、毎日見ても、全然きゅんきゅんしないもん。
手を握られてもドキドキしないし。
そりゃあ、見た目はカッコいい部類だとは思うけど。
毎日慧くん見てるから、そこら辺の男子が普通に見えるんだよね。
慧くんと別れたら、私、一生独身だと思う……、うん。
予鈴が鳴り、やっくんは渋々教室へと向かって行った。
「ゆず、ありがと」
「当然のことだから」
ウフッと笑ったゆずの笑顔があまりにも綺麗で。
ますます色気が増した気がした。