ブラック王子に狙われて②


ぎゅっと抱き締められ、優しく頭が撫でられる。

どこからともなく全身がシトラスの香りに包まれ、

贅沢な余韻に浸っていると。


「なぁ」

「……ん?」

「やっぱ、デカくなっただろ」

「………//////」


先週、慧くんに言われて、帰宅後に測ってみた。

そしたら、なんとっ!!

お胸が、お胸様が、遂に育ち始めたようで♪

ほぼペンタコと言っていいほどまな板状態だった胸が

少しふっくらとし出したと思ったら、

この1週間で、更に大きくなりつつあって。


最近は、朝晩計測して倖せを噛み締めてる。

A65だった胸のサイズが、今のブラではきつきつになって来て

ここ数日はパットなしで過ごしてる。


試験勉強に専念していたこともあって、

慧くんはそれを知らない。

だけど、男の子は抱き心地で分かるのか、

彼は胸の違和感にすぐに気づいた。


「自宅で測ったんじゃねぇの?」

「う、……うん」

「で?」


別に期待しているってほどの視線ではない。

元々、そんなに気にしてない彼だから

状況を把握したいだけなのかもしれないけど。

私からしたら、完全にカミングアウト状態で

疚しいことがあるわけじゃないのに、ドキドキが止まらない。

< 55 / 288 >

この作品をシェア

pagetop