ブラック王子に狙われて②


「………っぽい」

「ん?……今、何て?」


恥ずかしくて言いづらい。

表情で汲み取ってくれたらいいのに

こういう時に限って、ぎゅっと抱き締められてて

顔が見えないじゃないの~~。


彼の背中をトントンと軽く叩いて

ホールドされてる腕の解放を求めると、

ゆっくりと腕が解かれた。


「……育ち始めたっぽい//////」

「おっ、やっぱりな。よかったじゃん」

「……ん//////」


彼は優しい笑みを浮かべて、ポンポンと頭を撫でてくれた。


「ご褒美のお願いごと、決まったか?」

「えっ?」


何を突然言い出すかと思えば、

試験結果のご褒美の話題。

だけど、今日試験が終わったばかりで気が早くない?

そもそも、満点も最高得点も厳しいうえに

クラス順位5位以内って、超ハードル高いよ?

慧くんの教え方は私に合ってるけど

そんな簡単に成績が瞬間移動みたいに上がるはずないもん。

だから、1つでも順位が上がってくれれば御の字。

あんなに毎日付き合ってくれたんだから

順位も点数も下がらないことを切に祈ってる。

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