ブラック王子に狙われて②
17時過ぎに戻ると、既に夕食の準備がほぼ終わっていた。
ケータリングを手配してあったみたいで、
庭に豪華なBBQセットが用意されている。
ユウとユウの彼女は昼寝してるらしくて
俺と絢は早速買って来たグラスを使う為にキッチンへと。
「わぁ、綺麗なグラスね」
「ありがとうございます。千穂さん達もお土産にどうですか?」
「瑛太~、私もこういうの欲しい~~」
絢がお土産に勧めたら、千穂さん旦那さんにおねだりしてる。
ってか、呼び捨てだ。
なんかいいな、呼び捨て。
距離がぐっと近い気がする。
俺と絢の間には、ちょっとした壁がある。
俺が最初から壁を作るみたいに苛めたのが原因なんだけど。
今思うと、結構後悔してて。
ライトな感じの苛めでも、
絢はすぐに怯えて距離を取ろうとする。
俺のこの性格がそうさせてるんだろうけど。
もっとぐいぐい来てくれても、全然構わないのに。
絢はいつだって躊躇して距離取って、少し様子を窺うんだよな。
それが、傷つくこともある。