ブラック王子に狙われて②


172センチのゆずは大人の雰囲気の子だから

白い浴衣だと確かに着こなすのが難しいかも。


「紺とか黒?」

「うん、去年は紺色だったから、今年は黒にした」

「私は逆に黒が着れない。童顔だし、背も低いから大人びてる柄も着れない」

「うちら、無い物強請りだよね」

「うん」


ゆずはゆずで悩みがあるように、私にも悩みがある。

いつもは白地にピンクの柄とかクリーム色の柄とかだったけど

今年はちょっと冒険して薄紫にした。

お胸様が成長したというのもあって

少しくらい大人びた柄を試したくて。


「ユウくん、浴衣着てくれそう?」

「それは大丈夫」

「どうやって頼んだの?」

「千穂さんに任せてある」

「あーっ、なるほど。いいなぁ~」


ゆずには千穂さんという強い見方がいる。

慧くんにもお兄さんの晋さんがいるけど、

去年のキスマークの一件以来、3回しか会ってない。

というより、慧くんが会わせないようにしてるみたい。

私が思い出すと思って、気を遣ってくれているようで。


慧くんと晋さんはあまり仲が良くなくて

慧くんは晋さんを完全に避けてるっぽい。

まぁ、他人の家庭のことをとやかく言う権利はないから、

見て見ぬふりをしているけれど。

< 95 / 288 >

この作品をシェア

pagetop