ブラック王子に狙われて②


翌日の午前中。

慧くんの家を訪問中。

いつものように2階の彼の部屋で勉強をしていると。


「絢」

「ん?」

「ちょっと向こう向いて?」

「向こう?」


隣りに座る彼に言われ、

彼に背を向けるように向きを変えると。


「んっ?」

「ちょっとじっとしてろ」

「……ん」


何やら彼が髪を触り始めた。


「ん、出来た。もういいぞ」

「ん?」


何やら髪に付いてる。


「鏡見て来てもいい?」

「ん、行って来い」


私は洗面所へと。

洗面所の三面鏡で確認すると、

ふんわりと緩くハーフアップに纏められた髪に

琉球硝子?で出来た蝶々の髪留めが。

この間の旅行の時にこっそり買ったの?!

しかも、何これ。

男の人なのに、何気にヘアアレンジがめっちゃ上手いんですけど!!

左側に緩くハーフアップされたそれは、

右サイドから捩じられてて、

しかも所々崩すようにバランス取られてる……。

慧くん、あなたに出来ないことはないの……?


可愛くセットされた自分が鏡に映る。

女子力割増しされてる。

か、かっ、可愛いぃぃぃ~~っ!!

思わず見惚れてると、


「あら、絢ちゃん」

「あ、すみません。鏡お借りしてます」

「どうぞ~。あら、可愛い髪留めね」

「今、慧くんに貰った所ですっ」

「あらあら、ご馳走様」

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