彼と。
「それで戸倉寛之さんはどこですか?」
「あーあ、忘れてたよ。....ついておいで」
その人はあたしの手を掴み、廊下を歩く。
すれ違う人からの視線が痛い。
「おい、寛之!美波ちゃん来たよ..」
「美波!こんなとこまでどーした?俺に会いたくなったか?」
半笑い気味で言う。
「なわけないでしょ!」
そう言うと爆笑した。
「で、なに?」
「何で放課後待ってなきゃダメなの?」
「俺の父親からの招待だ。受けないとどうなるかな?」
「行きます。行ったらいいんでしょ?」
「いい子だな」
頭の上に手を置き、ワシャワシャされる。
もう!髪ボッサボサじゃん!
「んじゃ後で。」