キミの好きなところ。
―――
――ある日の休み時間のことだった。
本を読んでいると、クラスメートに声を掛けられた。
「鈴ちゃん。北村先生が呼んでたよ」
「…!」
『北村先生』という名前に、ドキン、と心臓が跳ねた。
…でも、顔には出さない。
「…あ、うん。ありがとうね」
ドキドキする気持ちを抑えて、私はにこっと笑って返事をした。
…わかってる。
この呼び出しに特別な意味なんてないってことは。
でも…
ドキドキしてしまうんだ。
だって、私は先生のことを――…。
私は職員室へと急いだ。