キミの好きなところ。
―――
「お願いっ!先生!」
私は必死に、北村先生に向かって手を合わせていた。
それを見て、先生は呆れたようにハァとため息をついた。
「藤原。願って叶うことと、願っても叶わないことがあるってことを知れ。これも社会勉強だ。」
「えーっ!でもさぁ~私、本気…」
「でも、じゃない。じゃあ、オレ戻るからな。お前もバカなこと言ってないで、さっさと家帰って勉強しろ」
ビシッと指を差される。
先生にだったら、指を差されても嫌な気持ちにならないのが不思議だ。
でも、バカなことって何よ!?
人を好きになることがバカなことなの!?
北村先生が踵を返そうとした時、私は慌てて引き止めた。
「あっ…待ってよ!」
「…何?」
もしかしたら冗談だって思われてるのかもしれない。
…もっともっと伝えなきゃ。
私が本気だってこと。
このままじゃ、何も変わらない――。