キミの好きなところ。
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秘密の恋をあなたと始めてから、暫く経った頃――。
隣にはあなたの安心しきった穏やかな寝顔。
ほんの30分前までは、私たち二人、ベッドの上で夢中で揺れて、穏やかさなんてこれっぽっちもなかったのに。
私はあなたの髪の毛をさらさらと触る。
「………ん、なに…?」
あなたは目を覚まして、私の手を掴む。
指輪が光るその手で。
……イタズラ心からだった。
私は掴まれていない方の手で、その指輪を外そうとする。
「………おまえ、この指輪好きだよね」
………違うよ。
憎いの。