キミの好きなところ。
 


―――

秘密の恋をあなたと始めてから、暫く経った頃――。

隣にはあなたの安心しきった穏やかな寝顔。

ほんの30分前までは、私たち二人、ベッドの上で夢中で揺れて、穏やかさなんてこれっぽっちもなかったのに。

私はあなたの髪の毛をさらさらと触る。


「………ん、なに…?」


あなたは目を覚まして、私の手を掴む。

指輪が光るその手で。

……イタズラ心からだった。

私は掴まれていない方の手で、その指輪を外そうとする。


「………おまえ、この指輪好きだよね」


………違うよ。

憎いの。


 
< 68 / 101 >

この作品をシェア

pagetop