キミの好きなところ。
 

「…うっさい。黙れ」


拗ねたように課長の顔が私に近付く。


「…ん」


優しく降ってきた課長の唇。

昼間、あんなに怒鳴ってた人の唇なんて思えないほど、優しくて柔らかい。

唇が離れると、私は課長の赤く染まった頬に手を当てた。


「………真っ赤。りんごみたい」


熱い。

触れたところから、私にも熱が伝わる。

甘い甘い、真っ赤に熟したりんご。

私はこのりんごほっぺがすごく好き。

 
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