恋愛喫茶店　～恋と一緒にスイーツを～
「うわ、何これ！？しっとりしてて上品な美味しさだよね～。」


「これは・・・確かに美味いな。他のとこのケーキが食えなくなりそうだ。」


全員分のガトーショコラを用意してくれたマスターは、額に汗が浮かんでいて、疲れているのがはっきりとわかった。それでも、笑顔を絶やさないのはさすがだなと思う。

戸が開いて、ベルの音がする。また、誰か来てくれたみたいだ。


「な、何でこんなとこに喫茶店が・・・お前らも詳しい道を教えておいてくれよ！！商店街のあたりってどんだけアバウトだよ！！」


職員会議を終えた先生が息を切らしながら、喫茶店に飛び込んできた。


「先生いらっしゃ～い。やっぱり、先生方に怒られちゃった？」


皆が先生を手招きして、歓迎する。輪の中に入った先生は、差し出されたジュースを飲んで、荒れた息を落ち着ける。


「いや～、やっぱり授業中に生徒を外に出すのはよくないね。先生が先生に怒られるという貴重な体験をさせてもらいました。」


紙コップを置いて、笑っている先生は、怒られたことを気にしている感じを受けなかった。

それは、きっと先生自身が正しいと思うことをしたからだと思う。


「まあ、後悔はしてないけどな。・・・それで、綾瀬の告白はどうなったんだ？とにかく来てくれって言われて、詳しい事は全然聞いてないんだけど。」


皆が親指を立てて、先生に見せつける。その意味を先生は一瞬で理解したようで、


「そうか・・・よかったな綾瀬。無理矢理外に出した甲斐があったってもんだよ。」


祝福の言葉を私に送ってくれた。
< 103 / 106 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop