恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~
「え?じゃあ、俺、結構最後の方か。焼きソバ1つとウーロン茶1つね。」
誰が言い出したのかは知らないけれど、クラス全員が1つずつ焼きソバを買うことによって、ちょっとでも寄付額を多くしようということで、全員が買いに来ている。
こういう時のクラスの団結力は凄いなと思う。きちんと全員買いにきてくれるし、用事がある人は、焼きソバ代の300円を前もって払ってくれる。
ちなみに担任の宮元先生は、10パック程買っていった。その内の7パックは私達が勝手に上乗せしたんだけどね。
「給料日前なのに……」
そう言って、三人の野口英世を置いて去っていった。…少し可哀想だったかな?
「綾瀬さん。ほらほら、100円のおつり早く出して。」
トントンと肩を叩かれて、目の前に500円玉があるのに気付いた。
顔を上げれば、成瀬君の顔が見えた。影のせいかもしれないが、少し疲れているように見える。
「ごめん。はい、100円のお返しです。どうもありがとう。」
500円を受け取って、100円を渡す。
「ほら、焼きソバ1つとウーロン茶1つ。」
森山君が袋を手渡す。袋を受け取った成瀬君は、袋に手を突っ込んで、
「もう少しだし、頑張ってな。後、片付けも。」
コトリと音を立てながら、私の前にウーロン茶を置いてくれた。