恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~

「…これ、私に?」


「そう。ウーロン茶好きじゃなかったっけ?」


「う、うん好きだけど。……どうもありがとう。」


きっと、この前ファミレスでウーロン茶ばかり飲んでいたからだろう。
本当に細かい所にまで目が届くなと感心してしまう。


それじゃあと言って、成瀬君は私の前から離れていった。


目の前には成瀬君から貰ったウーロン茶の缶。
つ、と滴が垂れて、机の上に円形の水玉を作り出す。


「何、何?綾瀬さんって成瀬君と付き合ったりしちゃってるの?」


ぼーっと缶を見ていた私に、水野さんがトンデモナイ事を言ってきた。


「そんなんじゃないって!ほら、お客様がきたから、接客、接客!」


見事なタイミングでお客様が来てくれた事に感謝しながら、私達は「いらっしゃいませ」と声を張り上げた。


時刻は5時30分。後1時間半で、もう一度成瀬君に…逢える。
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